歩合制とはどんな意味?メリットとデメリットを正しく理解しよう
歩合制とは求人広告の給与欄でよく見かける言葉ですが、どのような計算方式で給与が支払われるかを理解しておくのは、労働者にとってとても大切なことです。
歩合制は固定給とは違う要素を含んでいますので、実際に働き始めてから会社側とトラブルになるのは避けたいこと。そこで今回は、歩合制とはどのような意味があるのか、正しく理解しておきたいメリットとデメリットについてご解説しましょう。
歩合制について
歩合制の給料の仕組みについてまずは見ていきましょう。知っているつもりでも、意外とわからない部分がある歩合制とは、次のような特徴があります。
歩合制とは何か
歩合制とは、働いた結果に応じてお金が支払われる給与の仕組みで、一例を挙げると営業の人が100万円を売った場合、売り上げの10%の歩合制なら10万円を受け取ることができます。
労働の成果が収入に反映されるため、毎月給与額が変わることが想定されるでしょう。歩合制は「成果報酬型」とも呼ばれ、業績がよければ比例して給料が上がることになります。
固定給との違いについて
給与といえば固定給をイメージする人が多いはずですが、歩合制との違いは実績に関係なく基本給の変動がないので、毎月固定した給与がもらえる仕組みです。
固定給は昇級するチャンスに基本給が高くなることもありますが、毎月の給与が一定額保証されていますので、労働者にとって歩合給のような不安は少ないでしょう。
2タイプある歩合制について
歩合制とは、頑張り次第で給与が高くなることが特徴。さらに歩合制は「完全歩合制」と「固定給と歩合制」の2種類に分けることができます。
完全歩合制とは固定給にあたる基本給がなく、給与は全て成果に応じて決まるもの。完全歩合制は、雇用契約を結んだ間柄では適用されないと法律で決まっているので、業務委託契約の場合に適用されています。
もし求人広告で完全歩合制と給与欄に表記されている場合は、その企業の正社員や契約社員ではない契約になると考えたほうがよいでしょう。
完全歩合制で働く人は、フリーランスがメインとなります。もうひとつの歩合制のパターンである固定給と歩合制が一緒になっている場合は、労働の成果に関係なくある一定額は固定で支払われる仕組みになります。
必ずもらえる金額のプラスとして歩合制が適用される形。たとえば保険の営業やタクシードライバーなどの業種で導入される給与体制で、個人の能力が給与にも影響を与えることが特徴です。
歩合制のメリットについて
歩合制とは、自分の努力が反映される給与体制であることはわかりますが、他にはどのようなメリットがあるのかを詳しくご説明します。
固定給よりも歩合制を好む人も多いため、自分にとってのメリットを正しく理解しておきましょう。
上限のない収入が可能
歩合制は成績次第で給与が上がりますので、上限がない収入が可能になります。不動産営業や車の営業など、契約を取りつけるごとにいくらと決まっている歩合制なら、売り上げがアップするほど自分の収入も高くなることに。
金額が大きい不動産業界なら、有能な人は歩合制のほうが高額年収を期待できますね。固定給だといくら頑張っても決まっていますので、金額よりも安定を求める人には固定給がよいかもしれません。
働く刺激がある
歩合制は個人の能力がそのまま収入につながりますので、たくさん給与をもらうよう働く刺激につながります。実力次第でしかも短期間で収入をアップさせることもできますので、成果を重視してほしい人には理想的な給与システムになりますね。
歩合制とは年齢も関係なく報酬がもらえるため、新人でもベテラン以上に給与をもらうことも可能なのです。
自分の努力が見えやすい
固定給で毎月安定した収入があるのは魅力ではありますが、頑張っても給与に変化がないため、やりがいを感じられないこともあるかもしれません。
その点歩合制とは、給与額が自分の実績のアップダウンを示すものなので、キャリアを積みたい人にとってはよいフィードバックにもなるでしょう。
純粋に金額で成果が評価されるため、公平な給与体制ともいえるかもしれません。
歩合制のデメリットについて
メリットが多いように見える歩合制ですが、注意したいデメリットもありますので、転職する際には慎重に判断しておきましょう。
過酷な働き方になる可能性がある
固定給なら、よほど会社の業績や経済状況が悪くならない限り、給与が急に変動することはありません。しかし歩合制とは自分の成果に対しての報酬なので、上手く契約件数がアップしない月は前月よりもガクンと給与が減る可能性があります。
そのため一定額を期待する人は、無理をしてシビアな働き方になることもありますので、ストレスを抱える場合もある点に注意が必要。
完全歩合制の場合、業務委託契約なので、労働者に最低賃金を約束するルールはないため、自分の働き方次第になってしまいます。
収入が安定しない
歩合制でも固定給がプラスされる仕組みなら最低金額は確保できますが、完全歩合制だと最悪給料0円の可能性もあるということなのです。
またフリーランスの場合、個人で事務所をレンタルして仕事をする場合は、賃貸料といった費用がかかり赤字になる場合もあるでしょう。
収入が固定給以上に高くなる期待感がある反面、歩合制だと収入が毎月安定しないことがデメリット。そのため毎月決まったローンの支払いがあると不都合になりますし、ローンの審査でも歩合制の仕事だと通りにくいケースもあります。
社会保険に入れない
完全歩合制の場合は、企業と契約した従業員ではありませんので、雇用とは関係なく社会保険に入れないことがデメリットです。国民年金や国民健康保険に自分で加入する手間があり、サラリーマンのように源泉徴収されることもありませんので、毎年確定申告が必要です。
完全歩合制の場合は、経理処理を自分で行うことが必要になりますので、確定申告の時期になると書類集めなども負担になるかもしれません。
人間関係が上手くいかないことも
歩合制は個人プレーの意識が強くなりますので、チームとしての団結力に欠けたり、仲間に対して過剰なライバル意識を抱いたりすることもあります。
自分の成績さえよければいいという風潮になると、人間関係でぎくしゃくする可能性もあるでしょう。たとえ仕事が好きでも、最終的に給与面で満足できないと、働き甲斐を見失ってしまいますよね。
職場の人間関係を上手く続けたいなら、平等な労働環境のほうが無難かもしれません。
必要経費は自腹になることも
完全歩合制だと、交通費や雑費などの必要経費の判断が仕事によって異なります。基本的に完全歩合制は業務委託契約になりますので、契約書内に経費を委託先が払うという説明があれば、経費は自腹になることはありません。
しかし多くの場合、フリーランスのように経費は自腹で負担することも多く、業務委託料に経費を含めて支払われる傾向にあります。
経費の支払いに関してはトラブルになることもよくあるため、契約する際にきちんと納得しておくこと。万が一業務先とトラブルが生じた場合は、労働契約を結んでいませんので、労働基準監督署に相談できない場合もあります。
まとめ
歩合制とは自分の実力に見合った収入が得られるシステムなので、得意なことを仕事で活かせる人にはメリットが多いかもしれません。
歩合制には注意点やデメリットもありますので、自分に合う働き方かどうか、よく検討して転職活動に活かしてみましょう。