結構ですの使い方は失礼になる?相手の気持ちを考えて断る方法
「結構です」の使い方ですが、普段無意識のうちに言葉にすることがよくありますよね。丁寧に相手に伝えているつもりでも、場合によっては冷たく聞こえてしまうかもしれません。
とくにビジネスシーンでは正しいマナーを身につけ、断る場面では真摯な態度が求められます。そこで今回は「結構です」の使い方について、失敗しないポイントを詳しくご解説していきましょう。
「結構です」の意味と使う場面
自分の意思表示をする際に正しいと自信があっても、相手に気持ちがきちんと通じない言葉や言い回しが日本語にはたくさんあります。
結構ですもそのうちのひとつ。間違って解釈したままだと、ビジネスシーンで恥をかいてしまうかもしれません。
結構ですの意味について
「要りません」という意味で使う場面が多い言葉ですが、「結構です」には肯定的な意味と否定的な意味の2通りがあります。肯定的な意味は「見事である」「好ましい」、否定的な意味としては「お断りします」「充分である」「それ以上必要ない」となります。
使用例について
結構ですの使い方例について見ていきましょう。意味が2通りありますので、使うシーンも肯定的な場合と否定的なものがあります。
肯定的な使用例では、カフェでオーダーする場合「コーヒーでよろしいですか」と店員に質問され「コーヒーで結構です」と答えるのは「コーヒーで大丈夫です、OKです」という意味になります。
店員に「コーヒーのおかわりはいかがですか」と質問されて「いいえ、結構です」と答えるのは、否定的な意味を込めた場合。「結構です」という言葉は、前後のつながりがないと相手を混乱させる場合があるので注意が必要です。
ビジネスシーンで注意したいこと
「結構です」は、肯定的なのか否定的なのか、勘違いされる場合もありビジネスシーンでは慎重に使いたい言葉です。では失敗しやすいポイントについて詳しくご説明しましょう。
敬語なのかどうか
丁寧に対処するつもりで「結構です」という場面があります。しかし自分の意図とは反対に、失礼になる場合もあるでしょう。それは上司や目上の人に対して、結構ですと言う時です。
「結構です」は敬語のひとつですが、肯定的と否定的な意味、どちらも兼ねている難しい表現。目上の人に対しては失礼になりますので、注意してお使いください。
その理由は否定的な意味にとられがちで、上司に言うとぶっきらぼうに聞こえてしまうため。たとえば上司に「この資料で大丈夫か?」と聞かれた場合。
結構ですというと、偉そうに聞こえますよね。丁寧に返答するためには「問題ございません」と表現したほうが印象は変わります。
また無難に「大丈夫です」と言い換えることもできますが、プロフェッショナルとしてのマナーが感じられないため、目上の人、お得意先や上司には避けたいですね。
使う場合の注意ポイント
ビジネスシーンで失敗しやすいのが、相手に質問する際に使う場合です。たとえばお客さんに聞かれた商品を見せる場合。「こちらで結構でしょうか?」というのはちぐはぐですよね。
敬語表現として使う言葉ですが、あくまでも自分の行動に対して使う言葉だと覚えておきましょう。相手に質問する場合は「こちらでよろしいでしょうか?」とわかりやすく丁寧に表現するのが正解です。
断る場合の言い方
「結構です」は、否定的な意味として表現することがあります。上司や目上の人に「コーヒー飲むか?」と質問された場合。一言「結構です」というのは、さらに否定を強めるニュアンスで冷たい印象になります。
この場合は「ありがたいですが、今回は結構です」「別の機会にお願いします」と前後をつけて、わかりやすく否定の表現をしましょう。
はっきりと自分の意思をアピールしなければならない場面、またはしつこく勧誘された時は「結構です」と強い姿勢で否定することができます。
誤解されないように使うパターン例
「結構です」と言っても大丈夫かどうか、とっさに判断できない場面もありますよね。そのようなシーンでは相手に失礼にならないよう、自分の気持ちを伝える他の言い方にしてみましょう。
肯定的に「結構です」を言い換えるパターン
「結構です」は要るのか要らないのか、あやふやに受け取られてしまうため、きちんと意思疎通ができるよう、不安な場面は違う言葉に置き換えましょう。
たとえば「このプロジェクトは、この計画通りで大丈夫ですか?」と質問された場合は「はい。問題ございませんので計画通りにお願いします」と言い換えられます。
他にも「アンケートのため、お名前と年齢をお伺いしてよろしいでしょうか」「はい、差し支えありません」など。「結構です」は質問に対して「YES」という意味を込めた表現で使うことがありますので、できれば言い換える場合も短文でなく、文章として説明を加えたほうがさらに好印象を与えます。
否定的に「結構です」と言い換えるパターン
慎重にならなければならないのが、否定的に「NO」という意味で結構ですを使う場合です。とても素っ気なく受け止められるので、この場合は次のような言い換えをしてみましょう。
たとえば「アンケートにお答えいただけますか」と聞かれて否定したい場合は「今は都合が悪いため、失礼させていただきます」と言い換えられます。
「この資料の作り直し、やってくれるか?」と上司に言われた場合は「恐縮ですが、わからない部分があるので難しいかもしれません」と言い換えできます。
どの言葉を使う際でも、目上の人にはワンクッション置いて否定したり、断ったりするのがマナーです。
「構いません」との違いについて
結構です、の同義語としてよく使われる「構いません」という言葉。使い方は同じなのか、どのような点に注意すべきか大切なポイントを見ていきましょう。
肯定しやすい言葉
「結構です」と「構いません」の一番の違いは、質問の答えに対して肯定の意味が強くなることです。「こちらの色でよろしいでしょうか?」と質問された場合、結構ですと答えるとよいのか悪いのかあやふやに聞こえます。
しかし「構いません」と答えると肯定的な意味となりますので、きちんと自分の意思が相手にも伝わりますね。構いませんとは、「関心を持つ」「相手をする」という意味がありますが、場合によっては相手に関心がないというニュアンスとして伝わる可能性がありますので、ビジネスシーンやメールでは注意したい言葉です。
目上の人には不適切
「構いません」は、気遣いは不要ですという意味がありますので、敬語としては相手によっては不適切に聞こえる場合があります。ビジネスシーンなら、上司や目上の人に対して使うことはできれば避けましょう。
「構いません」は何かしてもよいか、お伺いをたて許容される際に使う言葉です。そのため構いませんと上司に言うのは、上から目線に受け止められてしまいます。
この言葉を使う場合は対等の人、もしくは部下など立場が下の人に使いましょう。たとえばお得意先から問い合わせがあり「午前中にお伺いしてよろしいでしょうか」と質問されたら「構いませんよ」と返答するのは失礼になってしまいます。
メールでは不適切
仲がよい取引先や同僚など、気さくな関係がある相手ならメールで「構いません」と使うのは問題ありません。しかし正式なやりとりや契約に関する大切な場面で、構いませんと使うのは控えたほうが安心です。
その場合、同じようなニュアンスにしたいなら「問題ございません」と言い換えたほうがよいでしょう。
まとめ
結構ですの使い方は他の表現もプラスして、間違いなく相手との関係を意識するのが必要ですね。言い換えられる言葉もたくさんありますので、失敗したくない場面は慎重に考えて対応してください。