給与明細の見方基礎ガイド・収入と支払うものをきちんと理解しよう

給与明細の見方基礎ガイド・収入と支払うものをきちんと理解しよう

給与明細の見方がよくわからないけれど、今さら人には聞けないという悩みを抱えている人はいませんか。一番気になる手取り金額以外の数字は、あまり意識しない人も多いかもしれません。

しかし自分で働いて得るお金は、一体何に使われてどのような手当をもらっているのか、きちんと把握することが大切です。では意外と知らない人が多い、給与明細の見方について詳しくご解説しましょう。



勤怠に関する項目について

給与明細の見方基礎ガイド・収入と支払うものをきちんと理解しよう給与明細の見方で毎月確認しておきたいのが、勤怠(勤務)に関する日数や時間の欄です。最近は社員の勤怠管理はコンピューターで行い、間違いはさほど生じないものの、働いた日数が間違っていると給与にも影響してしまいます。

 

日数に関する項目

給与明細は金額にばかり目がいってしまいますが、根本の計算になるのは勤務日数などの情報です。勤怠や勤務欄に書かれているものは、会社が定めたその月の就業日数、そして実際にその月に出勤した日数。

週休二日制の企業なら、出勤日数は20~22日前後になるでしょう。そして会社を休んだ日は欠勤日数としてカウントされ、それも記載されています。

また最低でも週に1回の休日は法律で定められていますので、合計した日数以上に休日出勤はないことになります。有給休暇を使った月には、有給消化日数とその残り日数が書かれているでしょう。

 

時間に関する項目

勤怠欄に書かれるもので時間単位になっているものは、平日普通残業時間数と平日深夜残業時間数です。平日普通残業は雇用契約で決まっている労働時間を超える部分にあたり、さらに22時~翌5時に当たる部分は深夜残業としてカウントされています。

同じく休日労働時間、遅刻早退時間欄もありますので、どのような定義になっているかは会社に確認しておきましょう。給与明細には細かく項目が書かれてありますが、ゼロの場合は「0」、もしくは空白になっています。

 

支給額の内訳について

給与明細の見方が大切なのは、支払うものやもらうお金の種類によって社会の仕組みが理解でき、将来のリスク管理にも役立つため。働き方を考える際にも、現在の給与について内訳ごとにまずは見ていきましょう。

 

基本給

基本給は給料のベースにあたる部分で、賞与も基本給を基準にして計算される傾向にあります。基本給は実際に支給される金額ではないので勘違いしやすいところですが、基本給は他の手当との関連性がある部分なので、たとえ基本給が低くても手取り金額が増えることはよくあります。

 

手当

給与明細の見方で、しっかりチェックしておきたいのは各種手当金額です。とくに気になるのは「残業手当」。給与明細には残業手当として○○円と記載され、基本給にプラスされる形となります。

残業手当の算出方法は企業ごとに違い、1時間の単価×残業時間プラス割り増し料金など、就業規則を見ると計算方法が記載されているはずなので確認しておきましょう。

そして「通勤手当」。交通費等の非課税対象になる手当をはじめ。役職手当や法定休日手当などがあります。これらの各種手当が基本給にプラスされた金額が、支給額の合計になります。

 

支給額から控除される項目について

給与明細の見方基礎ガイド・収入と支払うものをきちんと理解しよう給与明細の見方でとても大切なのが、控除(マイナス)されている金額です。あまり意識せず支払っているものがあるはずなので、どのような意味があるのかそれぞれの項目を見ていきましょう。

 

社会保険料

給与明細は支給されるお金だけでなく、こちらが払っているお金も記載されています。まず「社会保険料」。健康保険料や厚生年金保険料にあたる部分で、標準報酬月額に保険率をかけて算出される仕組みです。

厚生年金の保険率は変動しますので、詳細が知りたい場合は会社の給与担当者、もしくは厚生労働省のホームページで確認してください。健康保険と厚生年金の保険料は、会社と折半して負担しています。

 

介護保険料

年齢が若い人がとくにチェックしておきたいのは、介護保険料の欄です。この保険料は40歳から徴収が始まるもので、20~30代の人が支払うことはありませんので、もし介護保険料を徴収されている場合は会社に確認してくださいね。

自分が介護サービスを利用する際、負担額は1~3割程度。残りの7~9割部分は、介護保険によって財源がまかなわれる仕組みになっています。

介護保険料は加入している保険によって異なり、会社の健保の場合は1か月あたりの介護保険料は「標準報酬月額+標準賞与額×介護保険料率」で算出。

給与が22万円前後の場合なら、介護保険料は会社と折半で約6~7千円の負担になります。日本の高齢化社会により、介護保険料率は上昇傾向にあり、2010年は1.50%だったのが2019年時点では1.73%となっています。

 

雇用保険料

雇用保険料は公的な労働保険制度の掛け金で、雇用保険を支払っている加入者は、失業保険や育児休業給付などの手当てをもらうことが可能です。

加入者にとって万が一の時に役立つ保険なので、今使うことがなくても困った時にあると便利なサポートといえるでしょう。失業時の生活を守ることや、職業訓練、再就職の促進を行うなどの大切な目的があります。

雇用保険は加入条件があり、31日以上引き続き雇用されるかどうか、1週間の所定労働時間が20時間以上であることが必要に。雇用形態は関係なく、正社員もアルバイトも条件を満たせば加入できます。

雇用保険料は、賃金に雇用保険料率を掛けて算出され、事業主の種類によって定期的な保険料率の見直しが実施されるので確認しましょう。

 

給与から引かれる税金について

給与明細の見方基礎ガイド・収入と支払うものをきちんと理解しよう給与明細の見方で実際に手元に残る金額は、総支給額よりもかなり少なく感じることがありませんか。給与から引かれるものとして重要な税金関連。給与から自動的に天引きされるものは、次の2つの税金があります。

 

住民税

住民税は自分が居住する都道府県と市区町村に払う税金で、このお金の目的は地域社会を活性化するための費用として充填されています。

住民が負担することが義務づけられているので、支払いを拒否することはできません。住民税の金額は前年所得の額により決定され、毎年6月~翌年5月までの1年間を単位として給与から徴収される仕組み。金額はお住まいのエリアによって若干異なります。

 

所得税

自分で稼いだ給料の金額に合わせて課せられるものは所得税です。住民税とは違い、所得税は労働者が国に支払う税金で、金額はその年の所得から計算。

会社員の給与明細を見ると、所得税が必ず記載されてありますが、毎月徴収される金額は会社側が大まかに想定してものを天引きしています。

そのため払いすぎ、もしくは不足することもあるので、年末調整で税金額を調整して還付される仕組みになっているのです。所得金額が増えれば、所得税も増えるということ。

金額は(基本給+各種手当)-(社会保険料+雇用保険料)で算出され、源泉徴収税額表に照らし合わせて計算されますので、所得税が多すぎると思った時は税額表を確認してみましょう。

 

まとめ

給与明細の見方はそれぞれの項目の意味を考えると、お金の使い方も考えやすくなるかもしれません。お給料の計算はシステムが全て管理していますが、会社によっては人が計算することも。

このため気になる金額や項目は、なるべく早く会社の給与担当者に相談しましょう。また会社のミスで差額分が発生した場合も、なるべく早く振り込んでもらうことが大切です。

逆に会社が過払いして、社員に返還請求するケースなどもあるので、このようなことにならないためにも毎月の給与明細は納得できるまでチェックしておきたいですね。



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