収入が安定する職業・仕事とは?(将来安定した生活を送りたい)
今の職場での仕事は安定せず・給料が少ない・体力的に厳しい・保険が出ないので負担が大きい・将来の見通しが立たないなど、先々に対して不安が多い。
そんな方も多いのではないでしょうか。
実際、就業中の方にアンケートを取った結果でも「全体の84%が現在の職場での仕事に悩み・不満がある」と答えています。
更に、「現在の職場での仕事に悩み・不満がある」と答えた方が、何に悩みや不満を感じているのかを尋ねたところ、
・給料が少ない(48%)
・将来への不安(42%)
・賞与が出ない(29%)
といった回答が上位に並んでいます。
それだけ、今の職場での仕事が安定せず、悩みや不満を持っている方が多いということですね。
この記事では、「安定した仕事・職業」というものについての捉え方・考え方と、とるべき行動について考えてみたいと思います。
「安定」とは?(一般的な意味)
冒頭にも書いたように、仕事における「安定」というものの定義は、人によって異なります。なぜ人によって定義が異なるのか?
それは、「安定」という言葉の抽象度が高いからです。
(「あなたにとっての幸せとは何ですか?」と質問した時に、返ってくる回答が人によって異なるのと近いですね)
では、あなたにとっての「安定」とは何でしょうか?
・高い給料をもらえること?
・労働時間が短い(長くない)こと?
・転勤がないこと?
・リストラされないこと?
・将来のキャリアアップのイメージがつくこと?
・それとも、そのどれも満たしていること?
勿論、どれが正解であり、どれが不正解、ということはありませんが、少なくとも、自分自身が求めている「安定」が、何を指しているのか、ということは自分の中で明文化しておく方が、あとあと、転職などを考える際にも、的確な判断が行えるようになります。
「安定」な職業・仕事が満たすべき条件
先ほど、「安定」の定義は人によって様々である。と書きましたが、「安定」のそれぞれの定義によって、職業・仕事が満たすべき条件が異なります。
高い給料がもらえる
高い給料を得るための要素としては以下の3つがあります。
〇高い専門性・スキルが必要とされる職業・仕事であること
他の人よりも高い専門性やスキルを有することにより、差別化が出来ている仕事は、他の人がなろうと思っても簡単にはなれないため、必然的にその職業・仕事に就ける人の数は限られます。
それにより、労働市場において、人材側(売り手側)が雇う側(買い手側)よりも有利になりやすくなるため、給料も高くなります。
〇事業利益率が高い業界であること
社員の給料(人件費)は、当然ではありますが、会社の売り上げた金額から出されます。
例えば、飲食や旅行業界など、粗利率が低い業界においては、売上のほとんどが仕入原価として出ていってしまうため、どうしても給料(人件費)を高くすることは難しくなってしまいます。
しかし、粗利率が高いと、その分給料(人件費)を払ってもまだお釣りがくる状態なので、必然的に給料は高く設定されやすくなります。
〇業界内におけるオンリーワンのポジションを確立できていること
業界内において、他の企業が真似出来ないようなオンリーワンのポジションを確立しているケースが当てはまります。
孫子が残した言葉に、「戦わずして人の兵を屈するは善の善なる者なり」というものがあります。
「戦わずして勝つ」という意味になりますが、他の企業と明確な差別化を図ることで、そもそも戦わずともよければ、利益も出しやすく、給料(人件費)も高くつけることがしやすくなります。
逆に、激しい競争に飲み込まれてしまっている企業は、どうしても利益を出しづらく、結果、給料(人件費)にもはねてくることになります。
■労働時間が短い(残業がない)
労働時間が短い職業・仕事は基本的に、「ペイフォーバリュー(Pay for Vlue)ではなく、ペイフォータイム(Pay for Time)」の考え方が強いものが多いです。
分かりやすく言えば、「シフト制」が組まれるような業務形態を指します。
残業することはほとんどなく、決まった時間で仕事を終えられることは大きなメリットですね。
逆に言うと、決まった時間はきっちりと働かなければならない、とも言えます。
■転勤がない
転勤がない職業・仕事が持つべき要素としては以下が挙げられます(以下のいずれかを満たせば転勤の可能性は低くなります)。
〇拠点が1か所(または特定地域に集中)であること
会社や勤務先が1か所しかない場合は、そもそも転勤する先が物理的にないため、転勤が発生する可能性はほぼないと考えてよいでしょう。
〇地域性が弱く、場所を選ばず出来る仕事であること
ネット上で完結できる職業・仕事などが当てはまります。
■リストラされない
リストラされるリスクを回避するには、所属する会社や組織が倒産や経営悪化するリスクが極力少ない環境を選ぶ必要があります。
それこそ、「公務員」などは、昔から「安定している」とよく言われてきていますが、それは、国や地方自治体が母体となっていることが関係しています。
よほど過疎化が進んで衰退している地域の地方自治体などでなければ、そうそうリストラに合うことはないでしょう。
■将来のキャリアアップにつながりやすい
将来のキャリアアップにつなげやすくするには、以下の要素を満たす必要があります(いずれも満たす必要があります)。
〇成長産業であること
成長産業ということは、先々、さらに人材の需要が高まってくることになります。
需要が高まれば高まるほど、売り手(求職者)が有利な市場になるため、自分で働く環境や条件を選べる立場に立ちやすくなります。
実際、日本を代表するベンチャー企業であるサイバーエージェントの社長を務める藤田晋さんも以下のようなことを言っています。
・就職するのであれば成長産業に身を置くべきである。
・仮にその会社がうまくいかなかっとしても、成長産業で働いていればなんとでもなる。
・産業が広がれば広がるほど、新しい事業が立ち上がる。
これを誰かがやらなければならず、その最先端で働くチャンスが得られる。
※参考:藤田晋が10年前から学生に「成長産業に身を置くべき」だと伝えつづけている3つの理由
〇高いスキルレベルが求められる職業・仕事であること
成長産業で需要が高まるとは言っても、誰でもすぐに出来るような職業・仕事であれば、皆がこぞって手を挙げることになりますので、ある程度は高いスキルレベルが求めらる職業・仕事のほうが、参入障壁にもなります。
また、別の観点で表現すると、「AI(人工知能)によって代替されにくい職業・仕事であること」と言い換えることもできます。
2015年に野村総合研究所と英オックスフォード大と共同研究し算出した結果によると、2030年には日本の労働人口の49%がAI(人工知能)やロボットに仕事を代替されるようになる、ということが言われています。
如何に高いスキルをもっていようと、AIで代替可能な領域においてスキルや知識を磨いても、近い将来AIに置き換えられ、将来の職を失ってしまうことになります。
したがって、AIの代替可能性が低い職業・仕事を選ぶことが賢明でしょう。
野村総合研究所の発表している内容によると、「芸術、歴史学・考古学、哲学・神学など抽象的な概念を整理・創出するための知識が要求される職業」や「他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業」は、人工知能やロボットで置き換えるのが難しい職業になる一方で、「特別な知識やスキルを必要としない職業」および「データ分析で体系化可能な職業」は、今後に人工知能やロボットで置き換えられる可能性があるとのことです。
「安定」しやすい業界・職種は?
では、「安定」しやすい業界・職種は何なのか?条件を満たすものを見ていきましょう。
■高い給料がもらえる
〇高い専門性・スキルが必要とされる職種
こちらは、医者や弁護士、大学教授などの職種が筆頭にあげられるでしょう。
まさに高い専門性やスキルを有することで、高い報酬を得ることが出来る代表格です。
いずれも、平均年収でも1,000万は確実に超えてきます。
いまあなたが大学に通っている、という立場であれば、上記のような職種も視野に入れてみるのも一つかもしれません。
また、既に企業に就職している方などであれば、システムアナリストやコンサルタント等が、年収が高い職種として挙がってきています。
これらの職種は、今後の需要も更に増えていくことからも、転身を検討するのであれば、非常に有効的な職種と思われます。
※マイナビが出している職種別平均年収ランキングも参考にしてみてください。
〇事業利益率が高い業界である
業界別で見ると、利益率が高いのは、M&A業界や医薬品業界、証券業界が挙がります。
M&A業界で言えば、全企業の中でも年収ランキング1位のM&Aキャピタルパートナーズ(平均年収1,947万円)などがありますし、医薬品業界であれば、第一三共やアステラス製薬、武田薬品、エーザイなどの企業が、軒並み平均年収1,000万円超えです。
証券業界については、野村HDなどは平均年収1,579万円と、全企業内でも3位に位置づけています。
ソフトウェア関連の業界も利益率は高いですが、現時点ではまだ平均年収が高い業界とは言いにくい状況です。
他の業界に比べ、新興産業であることもあるかもしれませんが、今後徐々に年収が上がってくることは間違いないでしょう。
※年収が高い業界ランキングということで、こちらもマイナビニュースで取り上げられていましたので参考にしてみてください。
〇業界内におけるオンリーワンのポジションを確立できている
キーエンスという会社をご存知でしょうか?
キーエンスはセンサー機器や画像処理機器などの開発から販売までを手掛けるBtoB企業です。
平均年収はなんと2,088万円と破格の値をはじき出しています。
キーエンスが業界内においてオンリーワンのポジションを確立している会社としては、いくつか挙げられますが、キーエンスは電気機器業界において、オンリーワンのポジションを築けている、典型的な例でしょう。
彼らは、メーカーであるにも関わらず、あえて工場はもたず、また徹底した業務オペレーション効率化と無駄の排除により、圧倒的な利益率を誇っています。
電気機器業界における平均的な営業利益率は6%程度と言われる中、キーエンスの営業利益率は54.1%と桁が一つ違います。
このように、業界別で見てみると、オンリーワンのポジションを築いている会社が見つかります。
※参考: 業界別年収ランニング
企業別年収ランキング
■労働時間が短い(残業がない)
労働時間が短い職業・仕事は基本的に、「ペイフォーバリュー(Pay for Vlue)ではなく、ペイフォータイム(Pay for Time)」の考え方が強いと書きましたが、分かりやすいものでは、受付業務などが挙げられます。
その他、小売店やホテル、スポーツ関連施設などの販売員・スタッフなどは、シフト制が組まれることが多いため、業務時間が完全に決まっていますね。
こういった職種・仕事の中には、あまり高給のものは挙がりにくくなってしまいますが、「絶対に残業なく、働く時間が決待っている仕事いい!」ということであれば、これらを選ぶことをお勧めします。
また、公務員は早く帰れるイメージが強いですが、一般職であればそういったケースも多いものの、総合職の場合は、残業が多いケースも多くあるようです。
※残業の多い/少ない職業・仕事は、こちらでもまとめられていますので、参考にしてみてください。
■転勤がない
〇拠点が1か所(または特定地域に集中)であること
こちらは、拠点が決まってるケースですので、転職サービスなどを利用して、勤務先が固定されている仕事を探していましょう。
〇地域性が弱く、場所を選ばず出来る仕事であること
建設・不動産業界や、銀行、商社などはビジネスの特性上、地域性が強くなってしまうため、どうしても事業の都合によって転勤を命じられるケースが増えてしまします。
逆に、地域性が弱く、場所を選ばずに仕事ができる、という意味では、IT・Web関連の職業・仕事が当てはまります。
Eコマース・オンラインショップを運営する会社や、ネット記事のライターなどが挙げられるでしょう。
■リストラされない
〇経営悪化するリスクが極力少ない環境であること
やはり、代表格として上げられるのは公務員でしょう。
リストラのリスクが少ないことに加え、福利厚生も比較的充実していると言えます。
公務員には、「国家総合職」や「地方上級・市役所・ 国家一般職」、「理系公務員(技術職)」、「警察官」、「消防官」、「教員」など、様々ありますので、公務員を目指す際には、それぞれのメリット・デメリットを含めて検討しましょう。
その他、インフラ関連の企業についても、公務員には劣る面もありますが、比較的経営が安定していると言えるでしょう。
例えば、電力・ガス業界、鉄道業界の大手各社については、すぐに経営破綻するリスクは少なく、リストラのリスクも少ないと考えられます。
■将来のキャリアアップにつながりやすい
〇成長産業であること
成長する業界としてまず上がるのは、間違いなくIT業界でしょう。
デジタルトランスフォーメーションというキーワードが叫ばれるようになってきましたが、それを因数分解すると、「AI(人工知能)」や「RPA(Robotics Process Automation)」、「VR/AR(Virtual Reality/Augmented Reality)」、「IoT(Internet of Things)」といったキーワードが浮かび上がってきます。
これらの領域を基幹事業に据えている会社であれば、間違いなく、「世の中の変化を追いかける側」ではなく「世の中の変化を創る側」にまわることが出来るでしょう。
※参考:AI(人工知能)に携わることのできる求人特集
RPAの求人の求人・転職情報
AR/VR/MRの求人・採用情報
〇高いスキルレベルが求められる職業・仕事であること
コンサルタントという仕事は、以前より、ハイスキルを求められる印象が強いですが、実際、コンサルタントとして成果を出すことは、先々のキャリアアップに確実につながります。
「コンサルティング」=「課題解決」なので、優秀なコンサルタントになれば、課題解決能力が高く、あらゆる環境下において成果を上げることができるでしょう。
とりわけ、経営コンサルタント等は、AIに代替されにくい職種の代表格としても挙げられています。
※参考:ハイクラス転職のビズリーチ
年収1000万円以上の転職ならランスタッド
ハイクラス転職サービス
そもそも「安定」することはないと考えたほうが良い
逆説的ではありますが、世の中、「完全に安定して、将来一生安泰である」ということはあり得ません。
将来くいっぱぐれない仕事・職業とは?でも書きましたが、これまで「安定」の代名詞であった超大手企業が大赤字を出し、一気に経営難に陥る、といったことも起こり始めていますし、IT化が進み、誰もが情報を手に入れやすくなったいまの世の中は、変化するスピードもすさまじいものがあります。
ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並び「世界三大投資家」と称されているジム・ロジャーズもこう言っています。
https://president.jp/articles/-/27906
日本はより貧しくなる日本は50年後に消滅する。
国の借金が天井知らずに増え、人口が減少し続けているからだ。食い止めるためには、移民を受け入れるしかない。
この先、間違いなく今とは違う時代が来ます。
来るべき時代に備えて考え、行動をすることが賢明でしょう。
本質的な意味での「安定」とは?
どの業界を選ぶのか?どの会社を選ぶのか?と言ったことも勿論重要ですが、本質的な「安定」とは何でしょう?
それは、やはり「いかなる環境におかれても自ら価値を生み出せる人材になる」ということではないでしょうか?
「0から1を生み出し、1から100にも1000にも出来る」
そういった人材になることが、本当の意味での「安定」ではないでしょうか?
会社や組織にあやかるのではなく、自らの力をつけることが求められる。そんな時代が差し掛かっているのだと思います。
自らの力をつけることは、いかなる業界においても会社においても可能です。なぜなら、自らの力をつけられるか否か、は、「自分次第」だからです。
「この業界、この職種、この会社に就職できたから、もう大丈夫だ」という思考が最大の敵です。
あなたにとって、本当の意味で、自らの力をつけるために、どういった環境(業界・職種・会社)が最適なのか、一度考えてみてはいかがでしょうか。
自分自身だけで考えるのではなく、知見ある人からアドバイスをもらうこともひとつの方法です。
・リクルートエージェント
・マイナビエージェント
・DODA
などのサービスを利用し、業界動向等や人材市場におけるあるある情報などを仕入れてみることをお勧めします。