求人広告は資本金をチェックするべき?資本金から判断できることとは?
求人広告において、会社の資本金はチェックするべき項目なのかどうか。あまり意識しない人は多いかもしれませんが、転職で成功するためにも、資本金からわかることはしっかりと明確にしておきましょう。
そこで今回は、求人広告の資本金の見方について詳しくご解説しますので、転職活動中の人はぜひ参考にしてくださいね。
会社の資本金とは何か?
求人広告に企業の資本金が記載されている場合がありますが、そもそも資本金とは何なのか、正しく理解しておきたい重要なポイントをご説明します。
資本金について
資本金が多いほうが、その企業は経営状態がよさそう…と思う人が多いはず。しかし資本金とは企業の業績とは関係のないもので、たとえそれほど儲かっていない企業でも資本金の額が相当ある場合もあります。
資本金とはビジネスを運営する際の元手金のことで、大きく分けると経営者の手元資金と投資家からのお金があるといえます。大きな企業をスタートさせる場合は経営者だけの資金では足りず、投資家から調達し株主のお金も必要になるのですが、これらは資本金として分類されています。
そのため会社の売り上げとは違う趣旨なので、どれだけ会社が儲かっていても資本金の額は変わらないことが特徴。求人広告で資本金が掲載されている場合は、会社の現在の業績とは切り離して資本金を理解することが必要です。
会社概要に記載される理由について
転職先を見つける際に、企業の概要は誰しもリサーチしますよね。その際に「資本金」が書かれてあることがほとんどですが、なぜ必要なのかは気になる部分です。
資本金は企業の手元資金なので、会社の規模の目安となります。そもそも会社の設立は1円からでもできること。しかし資本金が多いほど事業の規模が大きく、安定している企業という印象を与えます。
そのため会社概要に取引先に向けたメッセージとして資本金を書くことは多く、ホームページでも確認できますので、就職先を知るためにもチェックは必要なのです。
資本金は返済義務がないお金
ビジネスを始める際に、足りない資金を金融機関から借りることはよくあります。求人広告で資本金をチェックすべきなのは、資本金は返済義務のないお金なので、それだけ会社の経済力も安定することになるでしょう。
会社を始めるにあたり初期費用は、資本金と借金の2種類があります。金融機関から借り入れたものは負債になりますので、返済義務があるということ。
売り上げがよい企業でも、資本金で借りた部分は返済しますので、その分利益は減ってしまう可能性があるのです。企業の資本金が多いほど資金繰りは楽。借金せずに経営を続けることも可能です。
資本金が少ない会社はどうなのか?
求人広告で資本金が書かれている場合は、その企業が自信を持って経営していることがわかります。では「資本金が少ない会社は転職先にしないほうがいいのか」という疑問も湧いてきますね。
企業の知名度だけでは信用を得るのは難しいこと。そのため資本金は、企業の将来をイメージさせるための目安になりますので、少ない資本金だと信用取引ができない可能性はあるかもしれません。
多くの金融機関では、企業の貸付の際に資本金の「2倍まで」をガイドラインにしているため、資本金50万円の会社なら100万円までしか借りられないことになります。
このようなことを考えても、業績が不安定になった時に、資本金が少ない企業は優遇が受けられない可能性は考えておいたほうが安心ですね。
資本金でわかることについて
求人広告に会社概要が詳しく書かれていない場合もありますが、資本金や従業員の数など、会社概要が丁寧に記載されていると、それだけでも信頼度が高くなりますよね。では資本金から何を読み取るべきか、判断したいポイントをご説明します。
資本金の額だけで企業価値は判断できない
確実にいえることは、資本金の金額が多ければ多いほどよい企業であるとは判断できないことです。たとえば世界的に有名な自動車メーカーの「トヨタ」。資本金は6300億円です。
しかし利益は年間に1兆円にものぼりますので、会社の価値は6300億円以上にあるといえます。逆に100億円以上の資本金の企業でも、経営状況により上場廃止になってしまう企業も。
資本金の額は会社の価値を示すものではありませんので、金額に圧倒されてしまわないよう冷静に判断してください。
関係の深い企業が見えてくる
求人広告の資本金をチェックする理由としては、関係の深い取引企業などが見えてくるためです。上場企業の場合は、資本金の資金を調達した株主名や企業の名前を公開していますので、ビジネスを始める際にどこからお金が調達したのか関係先をチェック。
製造業なのにアパレル関係企業が資金提供しているなど、今度の企業の方向性を知ることもあるのです。企業のイメージだけでなく、転職先として考える場合、取引先の金融機関や株主の種類などを理解しておくと、違った観点で企業の判断ができるかもしれません。
投資家からの人気度がわかる
求人広告の資本金を見ると、投資家からどれほどサポートされているかという人気度が見えていきます。投資家は企業の将来を考えて判断していますので、応援したくなる企業は信頼感があり、しかも将来的に伸びる期待感もあるということ。
資金の違いは業界や事業内容によって違いますので、製造業と比較するとIT業界の資本金が少ないということになります。日本国内の企業では、ゆうちょ銀行や三井住友ファイナンシャルグループなどが資本金のトップクラス企業。
信頼取引ができる企業は、それだけ業績も安定する要因があるということなのでしょう。
資本準備金について
資本金と似たような名前の「資本準備金」。この二つは違いがありますので、会社概要に記載されている場合は、どちらも念のためにチェックしておきましょう。
資本金は会社規模や信用度の指標になる数字。それに対して資本準備金は、あくまでも備えのお金なので指標にはなりません。資本準備金は、企業の不測の事態に備えるお金のことで、もし業績が悪化した時も資本金を使わずに、資本準備金を使うという仕組み。
基本的に資本金を減少させるのは、株主総会の特別決議など、細かい手続きが必要になりますので、資本準備金があれば万が一の時に資本金を取り崩さずに対応できる可能性があります。
会社の価値を判断するコツとは?
求人広告は給与や待遇、仕事内容にまず意識が向いてしまいますが、長く勤務するためには会社の価値を正しく判断することも必要です。その際は次のポイントをおさえて考えてみましょう。
売上の伸びについてチェック
現在の売上金額や利益だけでなく、今までどのように推移しているかをチェックすると、今後の企業の可能性が見えてきます。企業の経営状態を知るには、売上総利益から経費を差し引いた営業収益の金額をチェックしてみましょう。
またここ数年の売上高推移も、ライバル企業と比較してみるとよいかもしれません。ただし過剰な投資で売上を急激に伸ばしている企業は、借金額が多いともいえますので注意が必要です。
会社の方針をチェック
会社の価値は、資本金や売上などの数字だけではわからない部分がありますので、経営陣の考え方や会社方針などもよく調べておきましょう。
企業として理念をしっかり持っていることは、従業員の扱いも期待できるはず。また新商品や新サービスに積極的に取り組む企業は、若い人のアイデアも活かされやすいところが魅力です。
まとめ
求人広告の資本金は、金額だけではわからない深い部分を読み込むことがコツですね。転職先を選ぶ際はイメージだけでなく、納得できる材料をたくさん集めて判断してください。