「心ばかり」の使い方は間違ってない?意味と正しい使い方について

「心ばかり」の使い方は間違ってない?意味と正しい使い方について

「心ばかり」という言葉の使い方は、人とお付き合いする際によく使われますが、自己流に使っている人も多いようです。とくにビジネスでは、言葉遣いはマナーのひとつ。

間違った言葉を間違った場面で言ってしまうと、恥ずかしいだけでなく知識不足もアピールされてしまいます。そこで今回は「心ばかり」という言葉の意味と、正しい使い方について詳しくご解説していきましょう。



心ばかりの意味について

「心ばかり」の使い方は間違ってない?意味と正しい使い方について贈り物をする際に「心ばかり」という言葉を使い、表現する場合があります。どのような意味があるのか見ていきましょう。

 

言葉の意味について

心ばかりの使い方は、簡単そうで実は間違えやすいのが特徴です。失敗しないためにも、意味をまずは理解しておきましょう。

心ばかりを言い換えると「ほんの気持ちですが」となります。日常で幅広く使用される言葉なので、正しく使えるよう意識したいですね。

心ばかりを漢字にすると「心許り」と書き、「心を込めた」「ささやかな」という意味があります。贈り物をする場合によく使う言葉で「許り」とは範囲を限定する意味があり、半分許り残っていると使用します。

心と許りを合わせた「心許り」は、高価ではないけれど心だけは込もっているという意味で使われます。許りは「~だけ」または「~のみ」という意味がある言葉なので、心ばかりを使う際に判断しやすくなるでしょう。

 

似たような言葉

心ばかり(心が込もっているだけのもの)という言葉のニュアンスに似ているものは、他にもいくつかあります。たとえば「ほんの気持ちですが」や「大したものではありませんが」と言いながら、贈り物を渡すことがありますよね。

心ばかりとは、へりくだって贈り物をする際に使う言葉なので、類義語は他にもたくさんあります。わかりやすい言葉のほうがよい場合は、簡単な言葉に変えるのも方法です。

たとえば「ささやかですが」「つまらないものですが」など、普段から使い慣れた表現のほうがしっくりくる場合もありますよね。

 

心ばかりの使い方例について

「心ばかり」の使い方は間違ってない?意味と正しい使い方についてでは「心ばかり」の使い方について、参考例をシーンごとにご紹介していきましょう。

 

お詫びする場合

自分のミスで、相手に迷惑をかけてしまった場合。きちんとお詫びを態度に示さないと、今後の付き合い方にも影響します。とくにビジネスシーンは丁寧に謝らないと、自分のキャリアにも響く可能性があるでしょう。

お詫びする場合に、気持ちだけでは充分でないので品物を添える場合がよくあります。その際に「お詫びの気持ちとして心ばかりですが…」と一言伝えると、心はきちんと込もっているという意味が伝わります。

 

プレゼントする場合

お取引先に贈り物をする場合や、お世話になった人にプレゼントする場合、自分から相手に気持ちを伝える際に適した言葉。たとえばお見舞いの品を渡す際など、高価でないけれど心を込めたものは「心ばかりの品ですが」と謙遜しながら差し出すとよいでしょう。

「かなり値段が高いものなので…」と贈り物を渡す人はいないはずですが、「心ばかり」は丁寧に相手と接する際に、失礼にならないよう表現できる言葉といえますね。

 

お礼をする場合

仕事を手伝ってくれた人やお世話になった人に、お礼をする場合に品物を渡す際にもよく使います。たとえば菓子折りを渡す場合、「心ばかりの品で恐縮ですが、どうかご笑納ください」と伝えたり、品物にお礼状や手紙を添えて渡したりします。

この場合、心ばかりの「お菓子」とは言わず、「品」と置き換えるのが正しい方法です。

 

お祝いをする場合

改まってお祝いの気持ちを伝えたい場合、お得意先の家族の結婚、昇進や栄転などの場合にも使います。贈り物を宅配する場合は必ず手紙を添え、その際に「心ばかりのお祝いの品ですが」と付け加えましょう。

「心ばかりのお祝いの品ですが、おめでとうございます」と表現すると、とても謙遜した姿勢がわかりますね。

 

封筒やのしに書く場合

心ばかりの使い方は会話だけでなく、封筒やのしにも使えます。お礼でちょっとしたお金を渡すようなシーン。お金をお財布から出して、そのまま手渡しはできません。

その際に封筒に入れて渡しますが、表書きとして「心ばかり」と添えることができます。心ばかりのお金は、大金を渡す場合には不適切になりますので、ちょっとしたお礼などを贈る際の使い方として覚えておきましょう。

 

注意点について

「心ばかり」の使い方で間違ってしまうのは、「心を込めたもの」という意味で言ってしまう場合です。確かに贈り主にとっては心を込めたものなのですが、本来は「心の一部」や「気持ちのかけら」という意味がありますので、「こんな品物では、私の気持ちを全て伝えることはできません」という気持ちがあることを覚えておきましょう。

感謝する際や謝罪する場合、気持ちの一部を品物に変えた意味があります。あまりにも高価な贈り物をする際に「心ばかり」を使うと、嫌味に感じる人もいるかもしれません。

気持ちの一部を、高価なものでアピールしたい人もいるはずですが、その場合は「心ばかり」は使用せず、「精一杯の私の気持ちでございます」など別の表現方法を選びましょう。

 

目上の人に使う場合

「心ばかり」の使い方は間違ってない?意味と正しい使い方について心ばかりの使い方は職場の上司、お客様など目上の存在に対しても使える言葉です。幅広く使える言葉ですが、謙遜した意味が含まれていますので「つまらないもの」という意味と理解して、受け取り側が嬉しく思わない場合もあります。目上の方には失礼にならないよう、例文を参考にして活用してください。

 

「先日はお忙しい中、大変お世話になりました。心ばかりの品ではありますが、ご遠慮なくお受け取りください。」

 

「心ばかりではありますがお食事を用意しましたので、皆様で召し上がってください。」

 

「お見舞いの品をお送りさせていただきました。心ばかりの品ですが、どうぞお納めください。」

 

寸志という言葉について

「心ばかり」の使い方は間違ってない?意味と正しい使い方について心ばかりの使い方で類義語として使用される「寸志」。のし袋に書く際など、使い方の要点をまとめましたのでぜひ参考にしてください。

 

寸志の意味について

寸志はビジネスシーンでも、使うことがよくある言葉ですよね。言い換えると「心付け」で、お世話になった人へ感謝する際の表現として使われます。少しばかりの品物や金銭という意味を示し、お金を渡す際に白い封筒に「寸志」と表書きするのが最も一般的な使い方です。

寸志は目上の人から目下の人に対して使う言葉、ビジネスシーンでは注意したいポイントです。目下の人が目上の人に感謝する場合は、寸志でなく「ご挨拶」や「御礼」と敬意を払った名称を使いましょう。

 

寸志を使う場面

寸志を使うシーンは、上司から部下へ会社の飲み会などの場で、会費の足しにしてもらう際に「寸志」と書いたお金ののし袋を渡すケース。

また招かれたイベントに参加しない場合に、参加費用の代わりとして寸志を包むマナーがあります。ビジネス以外では、結婚式やお礼などで寸志を渡すことがあり、冠婚葬祭では世話係をしてくれた人へのお礼として寸志を渡すのがマナーとされています。

 

寸志を受け取る側のポイント

たとえば部長から、会社の忘年会の前に寸志をいただいた場合。その場で「ありがとうございます」と伝えたり、お礼状で感謝の気持ちを伝えたりしましょう。

また会場では、寸志をいただいた人の名前を披露するのがマナーなので、その際は「○○部長から寸志をいただきました」でなく「お心遣い」「ご厚志」と呼び名を変えることがマナーです。

 

まとめ

日本語の表現は難しいと感じるケースがよくありますが、失敗できない場面では慎重に言葉を判断しましょう。心ばかりの使い方も上手に会話にプラスして、自分の気持ちを伝えてくださいね。



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