試用期間とはどういうもの?転職する前に知っておきたい内容
試用期間という言葉をご存じでしょうか。聞いたことはあっても、詳しくはわからない人もかなり多いと考えられます。
試用期間の文字からは、見習い期間とか入社のお試し期間といった印象を受けるのではないでしょうか。それでは試用期間について、詳しく解説をしていきましょう。
試用期間とはどういうもの?
全ての会社に試用期間があるわけではなく、一部の会社には試用期間があります。試用期間中の給料や福利厚生・社会保障といった待遇、試用期間に延長はあるのか、試用期間中に解雇されてしまう心配など、気になる内容はいろいろあります。
試用期間とはどういうものなのか、具体的な内容について説明しましょう。
試用期間とは
試用期間とは長期雇用を前提にしていますが、採用した人材が社員として適切かを判断するために、会社側が設定している本採用までの期間です。一般的には入社した後1ヶ月から6ヶ月、長くても1年です。
会社側は面接などの採用試験だけで、様々な適性や能力を見極めるのは困難です。入社後に一定の仮採用期間を設けて、勤務態度や適性をみて本採用しようとしているのです。
採用される側も、実際入社してみて入社までの印象や情報と大きく違い、このまま働き続けられるのか考え直すケースもあります。試用期間はお互いにミスマッチの場合に、早期に対処するためです。
会社側は試用期間がある場合、労働契約書や就業規則などに、その内容を記載する必要がありますので、入社する際にはしっかりと内容を確認し理解しておきましょう。
試用期間中の解雇
試用期間であるからといって、容易に解雇されてしまうのではないかと不安に思うことはありません。入社時に労働契約を結んでいるので、客観的に正当な理由がなければ、解雇をできないのです。
正当な理由とは、「無断欠勤や遅刻などを繰り返す規律違反」「経歴詐称が発覚した」「勤務態度が悪く改善しない」「業務指示に従わない」などです。
期待していたほどのスキルや能力がなかったとしても、正当な理由とは言えず解雇できません。正当な理由で解雇する場合、試用期間の開始から14日間は予告なしに解雇することができる特例があります。
14日間を越えると解雇予告を30日前におこなうか、もしくは30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払いが必要であると、労働基準法で規定されています。
試用期間の延長
会社によっては、試用期間の延長をおこなうというケースも稀にあります。就業規則などに試用期間の延長に関する内容が明記されていて、延長をおこなう客観的に正当な理由があり、延長に関して書面で社員の同意が得られているなどの要件が揃っている必要があります。
もしも会社側から試用期間の延長の申し出があったら、その理由をしっかりと確認し納得したうえで同意書類に署名をするようにしましょう。
試用期間の給与や待遇
試用期間中の給与は、本採用後の給与よりも低く規定している会社もあります。就業規則等で確認しておきましょう。各都道府県が定める最低賃金額よりも、低く設定されていないか確認するのが大切です。
基本的な待遇は、正社員と変わりはありません。健康保険や雇用保険・労災保険・厚生年金などの各種社会保険に加入させる義務が会社にはあります。
会社が規定する各種手当や福利厚生も、試用期間であっても同様に受けることができます。試用期間ということで、「残業代の支払いがない」「都道府県の最低賃金より低い」「各種保険に加入できない」など違法で不当な扱いがあり、会社の対応が悪い場合は、労働局など行政機関に相談しましょう。
試用期間中に注意すること
試用期間中に注意することとして、就業規則や雇用契約書をまずよく確認して、不明点などは会社に確認して理解をしておきましょう。
会社の規則を遵守し、社会人としてのルールを守るのが、まず最も重要です。遅刻や欠勤をしないようにすべきですが、体の具合が悪いなど何らかのアクシデントは誰にしもあります。きちんと連絡をするのが大事です。
仕事への取り組みの心構えも重要です。上司や先輩・同僚とのコミュニケーションをよくとり、協調性をもって真面目に仕事に取り組む姿勢が大切です。
分からないことは聞いて、学んで成長する意欲を持ちましょう。もしミスをしてしまったとしても、正直に話して繰り返さないように十分注意しましょう。
試用期間中に退職したい場合
試用期間中にどうしても退職したい場合は、試用期間中だからすぐ辞められると思っていませんか。試用期間中であっても、すぐに辞めることはできません。
労働基準法では、退職したい日の2週間前までに会社に申し入れる必要があります。会社によっては就業規則等で、1ヶ月前までに申し入れることなどを規定しているケースもありますので確認しましょう。
試用期間中に退職するメリット
試用期間中に退職するメリットとしては、環境や仕事・人間関係などで会社が自分にどうしても合わず、精神的に大きなストレスになっていたりする場合、深刻な状態になる前にストレスから解放されることがあります。
試用期間中は、まだ重要な仕事を任されていることはあまりなく、会社にとっても退職による仕事への影響も少ないので、試用期間中は比較的辞めやすい状況にあります。
会社もある程度一人前に育て上げてからの退職よりは、試用期間中の方がショックは小さいのです。退職をポジティブに考えると、自分に合った会社への転職を早期に始められます。新卒の場合、第二新卒としての再就職もできます。人生の大切な時間を無理して無駄に費やするよりも、新たなことに前向きに成長するための早めの退職もあるのです。
試用期間中に退職するデメリット
試用期間中で会社の良い面がまだ理解できない状態で、自分に合わないと思い込んでいる可能性もあります。最初から何でもできるという人は少なく、ほとんどの人は不安を感じながら仕事をしています。
経験を積んで、努力してスキルアップを行っていくと能力は向上します。試用期間中に退職してしまって、後悔するケースもあるのです。
転職する際の面接で、試用期間中の退職理由を聞かれる可能性があります。退職理由によっては、採用してもまた辞めるかもしれないと、採用評価に影響しかねません。
マイナス評価にならないように、ポジティブな退職理由を回答するようにし、会社側を批判するような退職理由は避けましょう。
試用期間中に退職するデメリットを理解して、退職をする前に配置換えなども含めて会社とよく相談して、結論を出すようにしましょう。
試用期間中の退職は履歴書に書いた方がいいのか
試用期間中の退職を、履歴書に書くべきか悩む人も多くいます。もし書かなくても、採用まで知られない場合がほとんどでしょう。
しかし、転職後の社会保険等の登録の際に過去の履歴が分かってしまい、経歴詐称として問題視されかねないのです。意図的に隠していたと、マイナス的に捉えられてしまいます。
試用期間中に退職したことを、正直に履歴書に記載した方が基本的には良いのです。
次の転職先で失敗しないために
試用期間がどのようなものか、ご理解いただけましたでしょうか。試用期間を設けている会社ということで、神経質になったり不安に思ったりする必要は全くありません。
試用期間に関わらず、自分にとって会社に留まった方が良いのか、転職した方が良いのかをよく考え判断するようにしましょう。
次の転職先探しで失敗を繰り返さないように、転職エージェントに登録するという方法もあります。